オフセット印刷(平版印刷)の原理は水と油(インキ)が反発する特性を用いて印刷部分とそうでない部分を分けています。
平版印刷は平らな刷版を使うので、印刷部分に高さがないために、印刷部分は水を弾きインキが乗り、印刷しない部分に水を含ませてインキを弾いています。
この水の事を湿し水と言います。
刷版に湿し水を含ませる量が問題で、少なすぎると、非印刷部分にもインキがのります。(地汚れ)
多すぎると、印刷部分にインキがのらない状態になります。
その間のちょうど良いバランスを保ちながら印刷しています。
湿し水の量は少なければ、少ないほど品質が良い印刷物が刷り上がります。
品質が良い印刷物とはセット(乾燥)が早く、スプレーパウダーの量が減らせ、インキの艶もよく、用紙の伸びも少ない。網点が立っている(潰れていない)印刷物のことです。
極端な言い方をすると、地汚れする一歩手前のバランスが良いです。
そのために刷版に湿し水の水ですが、
水道水をそのまま使っているわけではありません。
水は比重が大きく、表面張力も大きいので少なくすることは困難なのです。
そこで以前は水にイソプロピルアルコールを混ぜて比重を落としていました。
また、親水性を良くするために添加剤も混ぜます。
しかし、近年はイソプロピルアルコールは毒性が高く、
有機溶剤中毒予防規則にも該当する溶剤なのでほとんど使わず、
毒性のない溶剤を使用しています。
湿し水の温度も重要で、冷やさないと版面温度が上昇して地汚れが発生します。
またpHの管理も重要で少し酸性になるように調整しています。
そして水の汚れ(痛み)具合を測る導電率でも管理しています。
オフセット印刷は湿し水が非常に重要で、
水の管理をきちんとしています。
それに加えて、
工場内の温度と湿度も非常に重要になります。
理想の工場内温度は23℃前後、湿度は50%~60%が適しています。