印刷業界に入りたての新人の頃、
変な業界だと思ったことがいくつかありました。
そのうちの一つに印刷代がありました。
印刷代の設定が条件が違っても同じ料金だということです。
条件とは
1、用紙の大きさ(菊半裁)
2、印刷色数(1色刷り)
3、通し枚数(1000枚)
この三つの条件だけで印刷代(3000円)が決まります。
菊半裁 × 1色刷り × 1000枚 = 3000円
菊半裁以下は
同じ機械で同じ版のサイズを使用するので、
用紙のサイズが小さくなっても同価格なのです。
またどんな用紙でも同価格。
但し、合成紙は割増料金が発生します。
印刷色数は何色であっても同価格。
但し、金色、銀色、パール、蛍光は倍の6000円になってました。
絵柄の面積もベタ柄は5割ほど割り増しです。
通し枚数も1000枚以下は同料金。
なんか変ではないですか?
お肉に例えるのなら、
牛肉 × ロース × 100g=600円
みたいなものです。
牛肉と言っても輸入肉もあれば、国産肉、国産ブランド肉と
種類も価格も違うはずです。
ロースでもピンキリありますよね?
そんなことは全て無視して同価格はありえないです。
用紙は種類によって価格は5倍以上変わります。
これはミスした時のリスクが違います。
印刷の色が違えば、インキ代が違います。
黒インキと綺麗なマゼンタインキ(プロセスの紅ではありません)では
これも約5倍以上違います。
印刷する枚数だけで、品質(クオリティー)は無視です。
見積もりするときにクオリティーを聞くことはありません。
これは良くて当たり前のように思います。
極端に言えば、黒一色の印刷物でも
罫線と社名だけのメモ帳とモノクロ写真集が同じ印刷代なのです。
明らかに求めるクオリティーは違いますよね?
クオリティーが求められる印刷物は
極端に許容範囲が狭く、少しでもトラブルがあれば
刷り直しになる可能性が高いリスクが多い仕事です。
それなのに同価格とは、、、
昔はそんな細かいこと考えなくても
凄く儲かったのだと思います。
だからどんぶり勘定になったのだと思います。
今も変わっていません。
ろくに原価計算もしないで、売値を決めていたのでしょう。
昔のまま、現在まで来ている感じで、そのまま残ってしまったのでしょう。
ちなみに2倍の価格になっている
金色、銀色、パール、蛍光はなぜ2倍なのか?逆に不思議です。
インキ代は墨の5倍もしません。
せいぜい2〜3倍程度で、倍も取るとはえげつない!
インキ代の違いは数百円です。
憶測ですが、
昔はインキ替えに時間が掛かったのだと思います。
だから2倍になんでしょう。(定かではありません)